この記事では、Windows PCでv2rayNを動かし、Androidスマートフォンとテレビを家庭内ネットワークに接続するケースを例に、PCからの通信、LANからの接続、Windowsファイアウォール、端末側のプロキシ設定を順に確認します。PCのアドレス、プロキシのポート、アプリの対応範囲を区別することがポイントです。設定後は端末の「接続済み」という表示だけで判断せず、リクエストがPCに届いているか確認できます。
共有の仕組み:端末からPCのプロキシへ接続
v2rayNの「LAN接続を許可」は、ほかの端末からローカルプロキシへの接続を受け付ける設定です。スマートフォン側にリモートノードのVMessやVLESSの情報を入力する必要はありません。PCをHTTPまたはSOCKSプロキシとして指定します。リモート側のプロトコルやTLS設定、ルーティングは、PC上のクライアントとコアが処理します。
この設定は、ルーター全体に適用する透過プロキシでも、インターネット接続の共有でもありません。スマートフォンやテレビでは、指定したプロキシ設定に対応するアプリだけがPC経由で通信します。プロキシに対応していないアプリは、そのまま直接接続することがあります。PCでTUNを有効にしても、家庭内ネットワークのほかの端末の通信が自動的にPC経由になるわけではありません。
- 必要な条件:PCのノードが利用可能で、クライアントとコアが正常に動作し、端末からPCのLANアドレスに接続できること。
- ネットワークの条件:同じ家庭用ルーターに接続した有線・無線端末は通常相互に通信できますが、ゲストネットワーク、無線クライアントの分離、異なるVLANによって接続が遮断される場合があります。
- 稼働条件:PCの電源を切る、スリープする、ネットワークから切断する、またはコアを終了すると、共有用の接続先は利用できなくなります。
- 利用範囲:HTTPプロキシが主に扱うのは、プロキシ設定に従うTCP通信です。ゲーム、画面ミラーリング、すべてのUDP通信が転送されるとは限りません。
手順1:PCのアドレスを確認してLAN接続を許可する
まずPCで利用可能なノードを選び、PCのブラウザーでインターネットに接続できることを確認します。次にターミナルで ipconfig を実行し、使用中のWi-Fiまたはイーサネットアダプターに表示されるIPv4アドレスを確認してください。仮想ネットワークアダプターやループバックアドレスは使わず、「デフォルト ゲートウェイ」のアドレスをPCのアドレスとして入力しないでください。
ipconfig
ネットワーク設定の例:
PCのIPv4アドレス:192.168.50.10
サブネットマスク:255.255.255.0
デフォルト ゲートウェイ:192.168.50.1
スマートフォンのIPv4アドレス:192.168.50.23
テレビのIPv4アドレス:192.168.50.30
v2rayNで「設定」→「パラメーター設定」を開き、「LANからの接続を許可」または「LAN接続を許可」の項目を探して有効にし、保存します。設定項目の場所やグループ分けは、画面やバージョンによって異なります。実際の画面に表示される項目名を確認してください。ローカルのHTTP、SOCKS、または混合ポートも控えておきます。保存後、画面の案内に従ってサービスを再起動し、新しい待ち受け設定を反映します。
- PCの現在のIPv4アドレスを控えてください。この記事では例として
192.168.50.10を使用しますが、実際の設定ではご自身のPCのアドレスに置き換えてください。 - ポート番号と対応するプロトコルを控えます。この記事ではHTTPに
10809、SOCKSに10808を使用します。あくまで例であり、すべてのバージョンでの既定値を示すものではありません。 - 画面に混合ポートしか表示されない場合は、まずそのポートがHTTPとSOCKSの両方に対応していることを確認し、両方のプロキシに同じ実際のポート番号を指定してください。
- 設定を保存したらログを確認します。ポートが使用中と表示された場合は、競合を解消してください。スイッチが有効になっているだけでは、サービスが起動したとは判断できません。
手順2:ポートの待ち受けを確認し、端末に合わせてファイアウォールを設定する
Windows PowerShellで待ち受け状態を確認します。以下のコマンドはこの記事のポート例を対象にしています。別のポートを使う場合は、実行前に数字を置き換えてください。何も表示されない場合、通常は待ち受けが開始されていません。127.0.0.1 だけが表示される場合、ほかの端末からIPv4で接続できません。
Get-NetTCPConnection -State Listen |
Where-Object { $_.LocalPort -in 10808,10809 } |
Select-Object LocalAddress,LocalPort,OwningProcess
結果が 0.0.0.0 またはPCの実際のIPv4アドレスなら、ファイアウォールを確認します。:: だけが表示される場合は、IPv4で実際に接続できるかも確認してください。デュアルスタックで待ち受けていると決めつけないでください。信頼できる家庭内ネットワークでは、「設定」→「ネットワークとインターネット」→現在の接続のプロパティを開き、ネットワークプロファイルを確認します。制限を回避するために、公共のネットワークをプライベートネットワークへ変更しないでください。
Win + Rを押してwf.mscと入力し、「セキュリティが強化された Windows Defender ファイアウォール」を開きます。- 「受信の規則」→「新しい規則」→「ポート」の順に進み、「TCP」を選択して、使用するプロキシポートを入力します。
- 「接続を許可する」を選び、該当する「プライベート」プロファイルだけにチェックを入れます。後から削除しやすいよう、規則に名前を付けてください。
- 新しい規則の「プロパティ」→「スコープ」を開き、リモートIPアドレスをスマートフォンとテレビのアドレスに制限します。ネットワーク全体に公開しないでください。
管理者権限のPowerShellから、同等の制限付き規則を作成する方法もあります。以下のコマンドは上記のアドレスとポートの例に限って使用できます。実行前に各項目を実際の値に置き換えてください。ルーターのポート転送を有効にするものではなく、Windowsファイアウォールを無効にする必要もありません。
New-NetFirewallRule `
-DisplayName "v2rayN LAN TCP restricted" `
-Direction Inbound `
-Action Allow `
-Protocol TCP `
-LocalAddress 192.168.50.10 `
-LocalPort 10808,10809 `
-RemoteAddress 192.168.50.23,192.168.50.30 `
-Profile Private
確認のポイント:まずポートへの接続を確認してから端末アプリを調整
LAN経由のTCP接続が確立していない状態では、サブスクリプションの調整、ノードの切り替え、リモート側プロトコルの変更をしても、受信側の接続遮断は解決しません。先に待ち受けアドレスとファイアウォールのスコープを確認し、その後でアプリのプロキシ対応を調べてください。
手順3:スマートフォンとテレビで正しいプロキシタイプを設定する
Android端末では、通常「設定」→「ネットワークとインターネット」→「インターネット」→接続中のWi-Fi→「ネットワークを編集」→「詳細設定」→「プロキシ」→「手動」の順に進みます。メーカーによっては、Wi-Fiの詳細画面に設定項目があります。Wi-Fiの手動プロキシ設定で指定するのは通常HTTPプロキシです。SOCKS専用ポートをそのまま入力しないでください。
Wi-Fiのプロキシ設定:HTTPプロキシ
- プロキシの種類
- 手動 HTTP
- サーバー
- 192.168.50.10
- ポート
- 10809(HTTPポートの例)
- 設定できる場所
- スマートフォンまたはテレビのWi-Fiプロキシ設定
サーバー欄にはアドレスだけを入力し、http:// は付けません。ポート番号は別欄に入力し、PCで実際に待ち受けている値を指定してください。
アプリ内の設定:SOCKS5プロキシ
- プロキシの種類
- SOCKS5
- サーバー
- 192.168.50.10
- ポート
- 10808(SOCKSポートの例)
- 設定できる場所
- SOCKS5に対応していることが明示されたアプリ
アプリにSOCKS5の設定項目がある場合のみ使用してください。宛先ドメインをリモート側で名前解決するには、アプリ側の対応も必要です。
テレビのWi-Fi詳細設定にプロキシ項目があれば、HTTPの設定例に従って入力します。有線LANとWi-Fiで設定が別々に保存される場合があります。端末のシステムにプロキシ設定がない場合は、使用するアプリに個別のプロキシ設定があるか確認してください。同じWi-Fiに接続したスマートフォンで使えたからといって、テレビのすべてのアプリがプロキシに対応しているとは限りません。
- HTTPSサイト:通常はHTTPプロキシのCONNECTメソッドでトンネルを確立します。サーバー欄をHTTPSアドレスに変更する必要はなく、端末に証明書をインストールする必要もありません。
- プロキシの例外:ルーターの管理画面やローカルサービスへ直接接続する必要がある場合は、端末が対応する形式で例外を設定します。ワイルドカードやネットワーク範囲の表記方法はOSによって異なるため、別のプラットフォーム向けの形式をそのまま流用しないでください。
- 名前解決の場所:HTTPプロキシとSOCKS5では、ドメイン名の処理方法が異なります。SOCKS5でドメイン名をPC側に解決させられるかはアプリの設定によるため、プロトコル名だけで判断できません。
手順4:接続とルーティングを段階的に確認する
まずLAN内のポート接続を確認し、次にプロキシのハンドシェイク、最後に宛先へのアクセスとトラフィックの振り分けを確認します。PC自身からインターネットに接続できても、それはPC側の通信経路が使えることを示すだけです。スマートフォンにWi-Fi接続済みと表示されても、リクエストがPCのプロキシに届いたとは限りません。
| 確認項目 | 確認方法 | 結果の見方 |
|---|---|---|
| ネットワーク間の通信 | PCと端末のアドレス、ゲートウェイ、ゲストネットワークの設定を確認 | 同じネットワークでも端末間の通信が許可されているとは限らない |
| TCP受信接続 | 別のWindows端末からポートをテスト | 成功しても、ポートに接続できることを示すだけ |
| プロキシのハンドシェイク | HTTPまたはSOCKS5を明示してリクエストを送信 | 端末がシステムプロキシを使っていない可能性を切り分ける |
| ルーティングと送信先 | コアのアクセスログで適用された送信先を確認 | プロキシに届いたリクエストも、ルールによって直接接続される場合がある |
別のWindows端末が使える場合は、その端末で以下のコマンドを実行してください。プロキシを動かしているPCだけでテストしても、端末間の接続確認にはなりません。例に挙げたサイトはテスト用であり、速度や利用可能性を保証するものではありません。
Test-NetConnection 192.168.50.10 -Port 10809
curl.exe --head --connect-timeout 10 --max-time 20 `
--proxy http://192.168.50.10:10809 https://v2ray88.com/
curl.exe --head --connect-timeout 10 --max-time 20 `
--proxy socks5h://192.168.50.10:10808 https://v2ray88.com/
TcpTestSucceeded: True はTCPポートに接続できることを示しますが、リモートノードの正常性は示しません。ここで使う socks5h は、プロキシ側で宛先ドメインを名前解決する指定です。HTTPのコマンドでは、プロキシ経由でHTTPSの宛先にアクセスします。宛先サイトのHTTPステータスコードが返ってきた場合、通常はアプリケーション層の応答を受信できています。成功以外のステータスでも、待ち受け設定をすぐ変更せず、応答元とログを確認してください。
よくあるトラブル:ポートのタイムアウト、ブラウザーは使えるのにテレビは直結
PCでは使えるのに、スマートフォンでプロキシを設定するとタイムアウトする
まず、スマートフォンに入力したアドレスがゲートウェイではなくパソコンのアドレスか確認し、待ち受け先が127.0.0.1のままになっていないか調べます。ファイアウォールの規則が現在のネットワークプロファイルに適用されていることを確認し、ルーターのゲストネットワークやクライアント分離も確認してください。スマートフォンとパソコンに同じWi-Fi名が表示されていても、ネットワークポリシーによって相互通信が遮断されている場合があります。
ブラウザーは使えるのに、テレビの動画アプリで再生できない
まずテレビのブラウザーから同じプロキシに接続できるか確認してください。ブラウザーが使える場合は、動画アプリがシステムのHTTPプロキシに従うか、別の通信方式が必要かを調べます。ファイアウォールでUDP通信をすべて許可しないでください。アプリがシステムプロキシを無視する場合、ポートを開放しても通信が自動的にプロキシ経由になるわけではありません。
設定後に「プロキシ サーバーが接続を拒否しました」と表示される
PCに戻り、コアが終了していないことと実際のポート番号を確認してください。HTTPとSOCKSのポートを逆に入力した、ポートを別のプロセスが使用している、設定の保存後にサービスの起動に失敗した、といったケースがよくあります。接続拒否の場合は、まず待ち受け状態とサービスの稼働状況を確認します。タイムアウトの場合は、ファイアウォールとネットワーク経路も確認してください。
昨日は使えたのに、PCを再起動したら接続できなくなった
もう一度ipconfigを実行し、DHCPによってPCに新しいアドレスが割り当てられていないか確認します。端末のアドレスが変わり、ファイアウォールの許可リストから外れていないかも確認してください。ルーターでPC、スマートフォン、テレビのDHCPアドレスを予約しておくと、アドレス変更による設定の不一致を防げます。最後にv2rayNのサービスが起動していることを確認してください。
スマートフォンでv2rayNGを使っている場合も、Wi-Fiプロキシの設定は必要ですか?
まず、スマートフォン自身のプロキシをテストするのか、PCの共有プロキシをテストするのかを明確にしてください。PCとの共有を検証する場合は、経路が重ならないよう、スマートフォン上の別のプロキシやVPN接続をいったん停止します。v2rayNGやv2flyNGによる端末内の接続は別の経路であり、PCのLAN接続を受け付けるための必須条件ではありません。
共有を終了する:待ち受けとアクセス権を元に戻す
LAN内のプロキシを許可すると、許可された端末がPCに設定された送信経路を利用できます。家庭内ネットワークでも接続範囲を制限し、これらのポートをルーターでインターネットに公開しないでください。公共Wi-Fiを信頼できるLANとして扱うのも避けてください。すべてのインターフェースで待ち受ける場合は、PCを後から別のネットワークに接続した際にも、そのインターフェースで待ち受ける可能性があります。
- 継続して使用する場合は、対象端末のDHCPアドレスを予約し、実際に使用するポートへの接続をファイアウォールでその端末だけに許可してください。
- HTTP接続だけを使う場合、使用していないSOCKSポートまで開放する必要はありません。既存の広範囲な許可規則もあわせて確認してください。
- 共有を停止するには、「LAN接続を許可」をオフにしてサービスを再起動し、待ち受けがローカル接続のみに戻ったことを確認します。
- スマートフォンとテレビのWi-Fiプロキシを「なし」または元の設定に戻してください。家庭内ネットワークから離れた後も、古いアドレスへ接続し続けるのを防げます。
この記事の例に従ってファイアウォール規則を作成した場合は、管理者権限のPowerShellで以下のコマンドを実行して削除できます。この規則だけを削除しても、既存のほかのアプリ許可規則は自動で削除されません。最後に別の端末からポートを再テストしてください。
Remove-NetFirewallRule -DisplayName "v2rayN LAN TCP restricted"
まとめ:共有設定は確認でき、元に戻せる状態に
PCのアドレス、プロキシの種類、実際のポート番号、ファイアウォール規則名を記録しておきましょう。問題が起きたら同じ順番で段階ごとにテストし、使い終わったら設定をひとつずつ戻します。サブスクリプションを何度も切り替えたり、ネットワーク権限をすべて緩めたりするより、原因を特定しやすくなります。